相続

相続で共有名義になったらどうする?手続きと選択肢

「親が亡くなり、兄弟で実家を共有名義のまま相続することになった」「そもそも共有名義で相続すると、何をしなければならないのか分からない」と戸惑っていないでしょうか。

結論から言うと、相続人が複数いる不動産は、遺産分割が済むまで自動的に共有名義になります。そのままにしておくと、相続登記の義務化によって手続きが必要になるだけでなく、将来の売却や管理で身動きが取りづらくなることも少なくありません。

この記事では、共有名義の不動産を相続するとどうなるのかという基礎知識から、メリット・デメリット、共有名義になる典型的なケース、実際に取るべき選択肢までをまとめて解説します。

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不動産の相続で共有名義になったらどうする?

相続人が複数いる不動産は、遺産分割協議が終わるまでの間、法定相続分に応じて自動的に共有名義になります。共有名義とは、一つの不動産を複数人で所有している状態のことで、各相続人が持つ権利の割合を「共有持分」と呼びます。

共有名義になったこと自体に手続きは要りませんが、その後は相続登記や相続税といった対応が必要になる場合があるため、順を追って確認していきましょう。

共有持分・共有名義という制度そのものをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

相続人全員が共有名義になる仕組み

遺産分割協議がまとまるまでの間、相続財産は相続人全員の共有状態に置かれると民法898条で定められています。さらに、2021年の民法改正(2023年4月1日施行)で追加された2項により、各相続人の共有持分は法定相続分(または指定相続分)を基準に算定することが明文化されました。

たとえば兄弟2人が実家を相続する場合、遺言や協議で持分を定めない限り、法定相続分どおり2分の1ずつの共有持分を持つことになります。

この時点では不動産の取得者が確定していないため、その後の遺産分割協議などを経て取得者や持分割合を決め、必要に応じて相続登記の手続きを進めます。

相続登記の義務化と期限

2024年4月の法改正により、相続登記が義務化されました。不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記の申請を行う必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。

「そのうち手続きすればいい」と後回しにしがちな部分ですが、期限が定められている以上、早めに着手しておくほうが安心です。

相続登記に必要な書類

相続登記の申請には、主に次の書類が必要です。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式
  • 相続人全員の戸籍謄本・住民票
  • 遺産分割協議書(共有名義にする場合は各相続人の持分割合を明記)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書

このうち遺産分割協議書は、あとから「言った・言わない」のトラブルにならないよう、共有名義にすることと、それぞれの持分割合を明確に記載しておくことが欠かせません。書き方に不安がある場合は、司法書士に相談しながら作成すると安心です。

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相続登記申請の流れ

書類が揃ったら、被相続人の最後の住所地ではなく、不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 戸籍謄本などの必要書類を集める
  2. 相続人全員で遺産分割協議書を作成する
  3. 法務局へ登記を申請する
  4. 登記完了後に登記識別情報通知を受け取る

書類に不備がなければ、申請から1〜2週間程度で完了するのが一般的です。

出典:法務局

相続税の申告が必要なケース

相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、相続税の申告が必要になります。

被相続人が居住していた宅地などについては、一定の要件を満たせば評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」もありますが、共有名義の場合は、特例を使える持分割合が相続人ごとに異なることもあるため注意が必要です。

具体的な申告の要否や税額計算は個別の事情によって大きく変わるため、税理士への確認をおすすめします。

相続後、保有を続ける間にかかる固定資産税について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

出典:国税庁

相続で共有名義になる3つのケースとは?

共有名義が生まれる主なパターンは「遺産分割が済んでいない」「遺言や合意であえて共有にした」「既存の共有者が死亡してさらに相続が発生した」の3つです。自分がどのケースに当てはまるかを把握しておくと、この先取るべき対応も見えやすくなります。

遺産分割が済んでいない場合

遺産分割協議がまとまるまでの間は、相続財産は相続人全員の共有状態に置かれます。「まだ話し合いが終わっていないだけ」という一時的な共有名義であり、協議がまとまり次第、単独名義や持分に応じた名義に変更できます。

遺言や合意で共有にした場合

被相続人の遺言で複数の相続人に持分が指定されていたり、相続人同士の話し合いによって、あえて共有名義を選んだりするケースもあります。「誰か一人には決められない」「全員で公平に分けたい」といった事情から、意図的に共有名義のまま相続を終えるパターンです。

共有者の死亡でさらに持分を相続した場合

すでに共有名義だった不動産の共有者の一人が死亡し、その持分をさらに相続人が相続するケースです。もとの共有者が3人いた場合、そのうちの1人が亡くなり相続人が2人いれば、共有者は最大4人に増えることになります。

このケースに特有の手続きや相続税の考え方について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

共有名義のまま相続するメリット・デメリット

共有名義のまま相続することには、公平に権利を分けられるという利点がある一方、将来の活用や売却がしづらくなるという弱点もあります。ここまでの基礎知識を踏まえ、共有名義のまま相続してよいのかを判断する材料を整理しておきましょう。

共有名義で相続するメリット

共有名義には、次のようなメリットがあります。

  • 相続人全員が公平に権利を持てるため、遺産分割協議で意見がまとまりやすい
  • 単独では負担が重い固定資産税や修繕費を、持分割合に応じて分担できる
  • 実家など思い入れのある不動産を、誰か一人が手放さずに済む

「どうしても一人には決められない」という場合、共有名義はいったんの解決策として選ばれやすい方法です。

共有名義で相続するデメリット

一方で、共有名義には次のようなデメリットもあります。

  • 不動産全体の売却やリフォームには共有者全員の同意が必要になる
  • 共有者の誰かが遠方に住んでいたり連絡が取りづらかったりすると、意思決定に時間がかかる
  • 共有者の一人が死亡すると、その持分がさらに相続人へ分散し、共有者の人数が増えて権利関係が複雑になりやすい

とくに3つ目のデメリットは見落とされがちですが、共有名義を放置する期間が長引くほど、次の世代、そのまた次の世代へと共有者が枝分かれしていきます。

共有名義のまま相続した不動産の選択肢

共有名義のまま相続した不動産をどうするか迷ったときの選択肢は、主に「共有者全員で売却する」「自分の持分だけを売却する」「持分を買い取り単独名義にする」「共有物分割請求で解決する」の4つです。それぞれの特徴を踏まえ、自分の状況に合った方法を選びましょう。

共有者全員で売却する

共有者全員の同意が得られれば、不動産全体を市場価格に近い水準で売却できます。権利関係をもっともシンプルに整理できる方法ですが、一人でも反対すると進められない点には注意が必要です。売却の具体的な流れや相場をより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

自分の持分だけを売却する

共有持分は民法206条により、各共有者が単独で自由に処分できる財産と定められています。そのため、自分の持分だけであれば、他の共有者の同意を得ずに売却できます。相続人同士で意見がまとまらない場合や、他の共有者と距離を置きたい場合に選ばれやすい方法です。

持分くんは、共有持分の売却・買取に特化したサービスです。他の相続人との話し合いが進まず、自分の持分だけを早く手放したいとお考えの方は、まずは無料相談からご検討ください。

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持分を買い取り単独名義にする

他の共有者の持分を買い取ることで、不動産を単独名義にまとめる方法です。実家に住み続けたい、活用方針を一人で決めたいという場合に選ばれます。

具体的な費用や手続きを知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

共有物分割請求で解決する

話し合いがまとまらない場合の最終手段として、裁判所に「共有物分割請求」を申し立てる方法があります。裁判所の判断によって共有関係を強制的に解消できますが、時間と費用がかかるうえ、望んでいない形(競売など)で決着する可能性もあります。

詳しい流れや費用を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

共有名義の相続に関するよくある質問

ここまで、共有名義の不動産を相続するとどうなるのかを、手続きからメリット・デメリット、選択肢まで解説してきました。最後に、読者から特によく寄せられる質問にまとめてお答えします。

Q.相続放棄と持分放棄はどう違うか?

まったく別の手続きです。相続放棄は、家庭裁判所への申述によって、被相続人の財産だけでなく借金も含めた相続そのものを放棄する手続きで、民法938条に定められています。相続の開始を知った日から原則3ヶ月以内に申述する必要があり、この期限を過ぎると原則として認められません。

一方、持分放棄は、すでに相続などで取得した共有持分だけを放棄し、他の共有者に帰属させる手続きで、民法255条に定められています。相続放棄と違って借金からは逃れられず、家庭裁判所の手続きも不要です。「共有名義から抜けたいだけなら相続放棄」と誤解されがちですが、実際には目的に応じて使い分ける必要があります。

持分放棄と売却のどちらが得かを詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

Q.相続放棄しても住宅ローンの支払い義務はあるか

相続放棄をすれば、被相続人が残した住宅ローンの残債を相続する義務はなくなります。ただし、団体信用生命保険の対象になっていない連帯債務や連帯保証がある場合は、相続放棄をしても自分の返済義務や保証の責任が残ることがあるため、契約内容を金融機関に確認しておく必要があります。

Q.共有者の一人が相続放棄したらどうなるか

相続放棄をした人は、初めから相続人ではなかったものとして扱われます。放棄された分の持分は、他の相続人へ帰属し、残る相続人の持分割合が増えることになります。

Q.相続した持分だけを売ることはできるか

自分の持分に限れば、他の共有者の同意なしに単独で売却できます。相続人同士の話し合いがまとまらない場合でも、自分の判断だけで手続きを進められる点が特徴です。

Q.相続登記をしないとどうなるか

2024年4月の義務化により、正当な理由なく相続登記を放置すると、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。過料を避けられたとしても、放置する期間が長引くほど、次の相続が重なって共有者が増え、手続きがより複雑になっていきます。

共有名義の相続は早めの整理と持分くんへのご相談を

共有名義の不動産は、相続人が複数いれば自動的に生まれるものであり、そのままにしておくと相続登記の義務化への対応が必要になるだけでなく、共有者の死亡によってさらに権利関係が複雑になっていきます。相続放棄と持分放棄の違いを正しく理解したうえで、共有者全員での売却、持分の単独売却、単独名義への変更など、自分の状況に合った選択肢を早めに検討しておくことが大切です。

持分くんは、共有持分の売却・買取に特化したサービスです。査定の根拠を明確に示したうえで金額を提示しているため、はじめて共有持分を手放す方でも安心してご相談いただけます。相続人が多く意見がまとまらないケースや、権利関係の整理そのものに不安があるケースのご相談にも対応しており、他の相続人に知られたくない場合も、秘密厳守でお問い合わせフォーム・お電話のいずれからでもご連絡いただけます。

より詳しい相場や業者の選び方を知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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